13.*略奪*

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「……」 口に出して、何か返事するのもなんだか惜しいような気がした。 だから風花の言葉に任せるようにして、その俺を誘うような唇にゆっくりと自分の唇を近づける。 ふ、と吐息が鼻にかかると同時に触れたその温かな唇は、その熱で俺に幸せをわけてくれた。 「……んっ」 ぎゅっ、と俺の服の袖を掴んできた風花。 次のキスを待ち構えるような行動に、頭がおかしくなりそうなくらい、強く理性が揺さぶられる。 「……は、んんっ」 一度触れるだけだった唇を離して、今度はその後頭部を俺の方に強く引き寄せた。 逃がすまいとするように、唇を塞ぐとさらに熱い熱が俺の胸を焦がして、こんなのじゃ足りないと俺をせかす。 「……風花」 「…んっ」 「もっと、口開けて」 「……っ!」 互いの唇は触れさせたまま、そう囁くと風花が戸惑ったような表情をした。 そして、うっすらと開いた瞳が妖艶に潤んで、またその目を閉じ、その目から一滴の水滴を零す。 それに見惚れている間もなく、風花の唇が遠慮がちに開いた。 「んっ、ふ、ぁ……んんっ」 こんなことをされて、我慢できる高校生男子なんているだろうか。 いや、いない。絶対にいない。 自分にそれだけをひたすら言い聞かせて、俺はその柔らかな口元に舌を差し込んだ。
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