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「……」
口に出して、何か返事するのもなんだか惜しいような気がした。
だから風花の言葉に任せるようにして、その俺を誘うような唇にゆっくりと自分の唇を近づける。
ふ、と吐息が鼻にかかると同時に触れたその温かな唇は、その熱で俺に幸せをわけてくれた。
「……んっ」
ぎゅっ、と俺の服の袖を掴んできた風花。
次のキスを待ち構えるような行動に、頭がおかしくなりそうなくらい、強く理性が揺さぶられる。
「……は、んんっ」
一度触れるだけだった唇を離して、今度はその後頭部を俺の方に強く引き寄せた。
逃がすまいとするように、唇を塞ぐとさらに熱い熱が俺の胸を焦がして、こんなのじゃ足りないと俺をせかす。
「……風花」
「…んっ」
「もっと、口開けて」
「……っ!」
互いの唇は触れさせたまま、そう囁くと風花が戸惑ったような表情をした。
そして、うっすらと開いた瞳が妖艶に潤んで、またその目を閉じ、その目から一滴の水滴を零す。
それに見惚れている間もなく、風花の唇が遠慮がちに開いた。
「んっ、ふ、ぁ……んんっ」
こんなことをされて、我慢できる高校生男子なんているだろうか。
いや、いない。絶対にいない。
自分にそれだけをひたすら言い聞かせて、俺はその柔らかな口元に舌を差し込んだ。
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