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「……う、海、に行くんですよね」
「ふっ、行き先言ってるだけなのに、何緊張してるの」
「だだ、だって……!」
飯島くんがからかうから、さらに恥ずかしくなって俯くと飯島くんはくすっと笑って「可愛いね」と目を閉じたまま呟いた。
「……は、はいっ?」
「なにビックリしてんの。
可愛くない人、彼女にする男はいないよ」
「いや、えっと、そりゃ、そうかもですけど…っ!」
「照れたの?
風花は忙しいね」
そういう飯島くんはどうしてそんなに余裕なんですか。
心の中で抗議しながら、あたしの肩で目を瞑る飯島くんをチラッと見る。
すると飯島くんはその整った口をゆっくりと開いた。
「……挽回しようかと、思ってるんだよね」
「え?」
「前にデートしたとき、灯台あったでしょ?」
「あ、はい」
「あそこ、行こうかと思ってる」
「え……」
「今度って言ったでしょ。
あの時、約束したから」
俺は約束は守る主義なんだ。
そう言って笑った飯島くんの目に、吸い込まれるかと思った。
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