14*避行*

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「……う、海、に行くんですよね」 「ふっ、行き先言ってるだけなのに、何緊張してるの」 「だだ、だって……!」 飯島くんがからかうから、さらに恥ずかしくなって俯くと飯島くんはくすっと笑って「可愛いね」と目を閉じたまま呟いた。 「……は、はいっ?」 「なにビックリしてんの。 可愛くない人、彼女にする男はいないよ」 「いや、えっと、そりゃ、そうかもですけど…っ!」 「照れたの? 風花は忙しいね」 そういう飯島くんはどうしてそんなに余裕なんですか。 心の中で抗議しながら、あたしの肩で目を瞑る飯島くんをチラッと見る。 すると飯島くんはその整った口をゆっくりと開いた。 「……挽回しようかと、思ってるんだよね」 「え?」 「前にデートしたとき、灯台あったでしょ?」 「あ、はい」 「あそこ、行こうかと思ってる」 「え……」 「今度って言ったでしょ。 あの時、約束したから」 俺は約束は守る主義なんだ。 そう言って笑った飯島くんの目に、吸い込まれるかと思った。
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