14.*避行*

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「風邪だと思います。 かなりの高熱を伴っていますが」 病院の診察室。 とりあえず小さな診療所に駆け込んで、風花を見て貰うと風花は風邪だと診断された。 ただ熱が40度近くあった。 たぶん俺が無理をさせた所為だと思う。 「一日、二日安静にさせてあげて下さい。 薬を出しておきますので」 「分かりました。 ありがとうございます」 白衣を着たお医者さんに一礼して、その場を出る。 ぐったりとした風花は、本当になんとか歩いているという状態だった。 「……風花、帰ろうか」 「嫌です。絶対に帰りません」 「でも、その身体で今の状況を続けるわけにはいかないよ」 「嫌です、絶対に嫌です。これだけは譲りません。 あたし、ここで帰ったら一生後悔する」 待合室の椅子で、会計を待ちながらも、風花は強情にも頷かなかった。 それどころか俺の手を痛いほど握りしめて、離すまいとしている。 40度の熱があって、これほど力を入れられるものかと思うほどだった。 「………風花。 もういいから」 「何がですかっ!? なにがいいんですか?!ここまで来たのに! 嫌です、死んでも離れませんっ」 「死んでもとか簡単に言わないの」 熱があるせいかいつもより、少し我が儘になっている風花。 ぎゅうっと俺を握る手が、俺に風花の必死さを痛いほど伝えてきた。 そして、その風邪による高熱も。
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