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「……風花。お願いだから言うこと聞いて。
とりあえず風花は家に帰って。」
「あたしが家に帰ったら飯島くんはどうするんですかっ?」
不安いっぱいの表情をして風花が俺に食ってかかる。
きっと俺が離れていくことを心配しているのだ。
俺の今までの行いがココに生きている。
「平気だから。
俺はその辺のホテルに泊まるから」
「あたしも行きます」
「……あのね」
熱で浮かされて常識が分からなくなっているのかも知れないけど、ホイホイと男とホテルに行くってどうなんだ。
風花の無防備な発言に頭を抱えていると、風花は涙でいっぱいの表情で俺を見上げた。
「ホテル行ってもはしゃいだりしません」
「は?」
「飯島くんのことも困らせないし、おとなしくちゃんとベッドで寝てます。
薬も飲むし、家と同じように安静にしてます。
だから、連れて行って下さい」
「……風花」
「嫌ですっ!
絶対に嫌なんです、怖いんですっ!
もう二度と、飯島くんと離れたりしたくないんですっ」
熱の所為で真っ赤になりながら風花は俺の手を両手で握って必死で訴える。
俺が風花とホテルに行くのを渋っている理由には全然気づいていないし、見当違いな答えをしているのだけれど。
「………」
この状態の風花を家に帰すのも、かなり困難だ。
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