14.*避行*

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好きに生きろ。自由に生きろ。 こんなことを言われる日が俺に来るとは思わなかった。 もう随分前から、俺が鎖に繋がれたままだということは決定事項だった。 飯島家に生まれた以上、この顔に生まれた以上、もうどうしようもない事実。 逃れようのない現実。 それがどういうわけか風花に会って、色のない世界が色づいて。 そしてどんどんこの、銀色に光る自分を繋ぐ鎖が憎らしくなっていった。 自由になりたい。 俺は、俺という人間であって「飯島海」なだけじゃない。 飯島家の息子で、綺麗な顔で、営業の鍵となっていて? それがどうした。そんなの関係ない。 アイデンティティーは、そこじゃない。 俺が俺であるという、ただそれだけの瞬間を風花が俺にくれた。 真っ正面から、まっすぐな汚れのない目で俺が好きだと何度だって叫んでくれた。 リモコンの赤のボタンをゆっくりと押す。 テレビ画面に表示されたニュースには、飯島家の株価が暴落していることが記されていた。
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