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風花が目を覚ましたとき、その身体は汗だくだった。
それが気持ち悪くて起き上がってみると、身体の熱は前よりずっとよくなっていて、なんとか立ち上がれた。
「……水」
喉が渇いて、机の上に用意されていた水に手を伸ばす。
それを一気に飲み干して、喉を潤してコップを元に戻す。
ボーッとした頭を奮い立たせるように、頭を振って、汗ばんで気持ち悪い身体を近くにあったタオルで拭いたとき、ふと思い出した。
「―――飯島くん?」
名前を呼んでみる。
でも、しんとしたそのホテルの部屋からは何も声は帰ってこなかった。
『シングル二部屋』
海が受付で言っていた声が思い出される。
頭がボーッとしていて、そんなことに意識を回している余裕があの時はなかったけれど、もしかして海は海の部屋に戻ったんじゃないだろうか。
「……なんだ」
ホッとして、身体をまた再びベッドに預ける。
ベッドからはホテル独特の匂いがして、なんとなく寂しい気持ちにさせた。
「………」
寝返りを打って、色々と用意された机をぼんやり眺める。
ふと、そこにメモがあるのを見つけて慌てて飛び起きた。
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