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俺がいたことに驚いたのだろう。
岳と空が勢いよく俺の方を振り向く。
親父は知っていたのか、ほとんど表情を変えなかった。
「……海」
ポツリとそう言った空が俺を心配するような目つきで見てくる。
それに少しだけ苦笑して口を開いた。
「もともと俺は勘当覚悟で来たんだ。
それが延長されるチャンスなら、乗っからない手はないでしょ」
「でも」
「いいんだよ。
それに親父は口は悪くても、あまりにひどいことは基本しないし」
「……」
「それにこっちも緊急事態なんだ。
ぼやぼやしてる暇なんかない。
それで決めよう」
俺がそう提案すると、真っ先に岳がそれで頷いた。
多分、岳も焦っているんだと思う。
今までないくらいの、うちの危機に。
「さっさと始めないと、手遅れになる。
俺はそれに賛成だ。空も親父も異議ないだろ?」
「……あぁ…」
「………」
空は煮え切らない返事で、そう答えた。
親父は黙っている。
黙っているのは無言の了承だと岳は践んでそこで、頷いた。
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