16.*幸福*

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俺がいたことに驚いたのだろう。 岳と空が勢いよく俺の方を振り向く。 親父は知っていたのか、ほとんど表情を変えなかった。 「……海」 ポツリとそう言った空が俺を心配するような目つきで見てくる。 それに少しだけ苦笑して口を開いた。 「もともと俺は勘当覚悟で来たんだ。 それが延長されるチャンスなら、乗っからない手はないでしょ」 「でも」 「いいんだよ。 それに親父は口は悪くても、あまりにひどいことは基本しないし」 「……」 「それにこっちも緊急事態なんだ。 ぼやぼやしてる暇なんかない。 それで決めよう」 俺がそう提案すると、真っ先に岳がそれで頷いた。 多分、岳も焦っているんだと思う。 今までないくらいの、うちの危機に。 「さっさと始めないと、手遅れになる。 俺はそれに賛成だ。空も親父も異議ないだろ?」 「……あぁ…」 「………」 空は煮え切らない返事で、そう答えた。 親父は黙っている。 黙っているのは無言の了承だと岳は践んでそこで、頷いた。
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