16.*幸福*

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「そうと決まったら……」 「その前に」 岳が話を進めようとするのを、途中で切る。 「ん?」と振り返った岳を見ながら、俺は口を開いた。 「杏奈どこにいる?」 「は?杏奈? 俺の部屋にいるんじゃ…」 「じゃあ、ちょっと杏奈借りる。 それから一瞬、俺抜ける。 風花が熱を出してて今大変だから」 「はっ? ちょ、おま、緊急事態ってそれのことかよ」 「そうだけど」 面食らっている岳を置いて、俺は足早に外に出た。 長い廊下にいらつきながら岳の部屋に行って、杏奈を呼ぶ。 結果を簡単に杏奈に告げて、風花の状況を告げると、杏奈が車を出してくれて、迎えに行ってくれた。 俺は残った。 今、うちのニュースで心配をしている取引先を一軒一軒回らなくちゃいけなかったから。 それも一刻も早く。 結局、俺と風花はその日どころか、その一週間ずっと会えなくて、俺は仕事で学校に行けないし、風花は風邪という状況が続いた。
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