16.*幸福*

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* * * 「おう、おかえり」 俺の部屋。夜11時頃。 疲れた身体を早く休めたくて、シャワーから帰ってくると、俺の部屋に空と岳、それから杏奈が集っていた。 「……なんで俺の部屋にいるわけ?」 「おまえのお祝いだからー」 「本人の許可くらい取ってよ」 もう半分慣れっこのこの状況にため息を吐いて、首にぶら下げていたタオルで頭を無造作に拭く。 濡れた髪が頬に当たって、ヒヤリとした感触が伝わった。 「にしてもさー、すんげぇあっさり片付いたよな」 空がビールを片手にそう呟く。 コクリとそれを飲む音が俺にも聞こえた。 俺はベッドに胡座をかいて座り、この妙な宴会に参加する。 「まぁ、時間なかったしね。 営業の方は一刻を争う事態だったから」 「それでもだよ。 ひどいと倒産するまで折れないかと思ってた」 「俺の一言が効いたんだろ」 岳が空いていないビールを手に取りながら、それをプシュッと開ける。 シュワーッという音が、小さな空間に響いた。 それを見ながら、空が呆れたような表情をする。 「それ言っちゃいますか、しかもご本人が」 「事実だろ。 俺の説得が効いたんだよ」 「……俺様」 杏奈がポツリと岳の横で呟いた。
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