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「おう、おかえり」
俺の部屋。夜11時頃。
疲れた身体を早く休めたくて、シャワーから帰ってくると、俺の部屋に空と岳、それから杏奈が集っていた。
「……なんで俺の部屋にいるわけ?」
「おまえのお祝いだからー」
「本人の許可くらい取ってよ」
もう半分慣れっこのこの状況にため息を吐いて、首にぶら下げていたタオルで頭を無造作に拭く。
濡れた髪が頬に当たって、ヒヤリとした感触が伝わった。
「にしてもさー、すんげぇあっさり片付いたよな」
空がビールを片手にそう呟く。
コクリとそれを飲む音が俺にも聞こえた。
俺はベッドに胡座をかいて座り、この妙な宴会に参加する。
「まぁ、時間なかったしね。
営業の方は一刻を争う事態だったから」
「それでもだよ。
ひどいと倒産するまで折れないかと思ってた」
「俺の一言が効いたんだろ」
岳が空いていないビールを手に取りながら、それをプシュッと開ける。
シュワーッという音が、小さな空間に響いた。
それを見ながら、空が呆れたような表情をする。
「それ言っちゃいますか、しかもご本人が」
「事実だろ。
俺の説得が効いたんだよ」
「……俺様」
杏奈がポツリと岳の横で呟いた。
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