16.*幸福*

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「説明して下さいっ、飯島くんっ!」 沢山のことが一気に訪れて、疲れ果てた愛しい彼の誕生日から一週間。 その月曜日は、朝六時半から駅で彼を待っていた。 あたしがいることに面食らったのか、目の前の彼は顔を引きつらせている。 「……おはよ、風花。 身体の方は大丈夫みたいだね」 「はい、おかげさまで。 それで飯島くん、あの時のメモはなんだったんですか!」 「だから、杏奈から聞いたでしょ」 「聞きましたけど! 聞きましたけど、あれはないじゃないですかっ! あたしがどれだけ泣いたと思ってるんですかっ」 「え、泣いたの?」 「泣きましたよ! 飯島くん、またどこか行っちゃうんじゃないかって」 「行かないって約束したよ」 「してても不安なんですっ!! 乙女心っていうかもはや、人の心を理解して下さい」 「そっか、ごめんね」 謝りながらも飯島くんはクスクス笑ってる。 あたしは本気で怒っているのに。 「なにが可笑しいんですか」 「いや、可愛いなと思って」 「はい?」 飯島くんの言っている意味が分からなくて首を傾げると、飯島くんはまたクスクスと笑って、 「俺の為に泣いてる風花想像するとさ、可愛いなって思うんだよね」 そう言って、柔らかく目を細めた。
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