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「説明して下さいっ、飯島くんっ!」
沢山のことが一気に訪れて、疲れ果てた愛しい彼の誕生日から一週間。
その月曜日は、朝六時半から駅で彼を待っていた。
あたしがいることに面食らったのか、目の前の彼は顔を引きつらせている。
「……おはよ、風花。
身体の方は大丈夫みたいだね」
「はい、おかげさまで。
それで飯島くん、あの時のメモはなんだったんですか!」
「だから、杏奈から聞いたでしょ」
「聞きましたけど!
聞きましたけど、あれはないじゃないですかっ!
あたしがどれだけ泣いたと思ってるんですかっ」
「え、泣いたの?」
「泣きましたよ!
飯島くん、またどこか行っちゃうんじゃないかって」
「行かないって約束したよ」
「してても不安なんですっ!!
乙女心っていうかもはや、人の心を理解して下さい」
「そっか、ごめんね」
謝りながらも飯島くんはクスクス笑ってる。
あたしは本気で怒っているのに。
「なにが可笑しいんですか」
「いや、可愛いなと思って」
「はい?」
飯島くんの言っている意味が分からなくて首を傾げると、飯島くんはまたクスクスと笑って、
「俺の為に泣いてる風花想像するとさ、可愛いなって思うんだよね」
そう言って、柔らかく目を細めた。
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