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「あーー…」
『え?』
言葉には出来ない気持ちが声になって漏れ出す。
まさに「あー…」だ。
心臓の奥がぎゅっと摘まれて痛い。
「なんっで、そういうこと言えるかなー」
『えっ?あっ、迷惑でした!?』
「そんなわけないじゃないですか」
風花の敬語をマネして、そしてまた深いため息をはき出す。
あぁ、どうしてこんなに可愛いんだろう。
どうしてこんなに愛しいんだろう。
『よかったぁー、邪魔じゃなくて』
邪魔じゃなくて、むしろすごく嬉しいんだけど。
そんなことでほっとしている風花にそういえば、きっと喜んでくれるって分かってるのにそう言えない。
俺が思ってるよりも俺は素直じゃないらしい。
そして俺が思ってるよりも俺は多分風花が好きなんだ。
「明日さー」
一回のリビングのソファに座って、会話をふる。
ギシッと俺の体重でソファが音を立てた。
「放課後、俺の家来る?」
『え?いいんですか?』
呑気な風花の声に警戒心なんか微塵もないんだなということが伝わる。
あげくのはてに
『杏奈先輩にも会いたいなぁ』
とかいうからさらに、それに拍車がかかった。
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