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愛しいって結構怖いことだと思う。
誰かを好きになることには結構ハードなリスクが必要だったんだな、と恋をして初めて知った。
『あ、あーっ、あれですね!』
ふ、と沈黙になっていたのが耐えられなかったのか風花が思い切り弾んだ声をあげた。
『早く、会いたいですねっ!』
「……」
『あ、あれっ?飯島くんっ?』
電話の向こうで風花が慌てふためく。
あぁもうどうしてそんなこと言っちゃうのかな。
少し熱を持った頬を冷やすように、ソファの背もたれに肘をつくと、ふと視界に大きめの窓が映った。
向こう側は真っ暗な暗闇だ。
『飯島くん?聞こえてます?』
「うん、聞こえてる」
『わ、じゃあ返事して下さい。
飯島くんの声聞きたくてかけたのにっ』
「へぇー」
余裕ぶった態度は電話だったから出来る特権だ。
少なくても今に関しては。
だってほら、鏡を見なくても分かるトロンとした目は多分きっと隠す術がない。
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