01.*契約*

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「まもなくー」 停車駅を知らせるアナウンスが車内に流れる。 ふと、飯島くんの方を見ると彼は眠そうに欠伸をしていた。 その手に携帯はもうない。 車内の電光掲示板に光り輝く毎日降りる駅の名前。 それを見つめて、まだ人がそれほどいなかった車内のドアへと歩く。 プシュー、という音とまた軽快な音楽が流れて、あたしも飯島くんも電車から降りた。 ふたりきりの時間はこれで終了。 別に会話もしないし。目も合わない。 特段女子と積極的に会話をしない飯島くんと。 特段男子と積極的に会話をしないあたし。 知らない人のふり、は当たり前。 いや、ただの顔見知りで存在は知る程度。 友人とすら呼べない。 駅から出れば、あたしは自転車。 彼は歩き。 ここからまた、別れを告げる。
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