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学校からそう遠くはない図書館内の文學棚
そこに配置された机達に囲まれて、ポツンとあの子は居る
うちのクラスの女子とは違い、膝下までの長い丈を折りもしないで着用しているあの子
髪は腰までのロングを後ろで纏めてて(女子に聞いたらハーフアップ?とか言うらしい)、何時も学校帰りなのか紺色のセーラー服を身に纏い、教科書とノートを見つめている、一言で表すと『清楚』な彼女
誰もこんな難しい本しかない文學コーナーへ足を運ばないせいか、あの机はまるで彼女専用のようで、そこは別の空間のようで、とても“特別な場所”に見えてしまう
盗見なんて性悪なことするのもどうかと思われそうだが仕方ないんだ
俺は彼女に惚れてしまったんだから
かれこれ半年も前から、俺・・・不二 裕太はストーカー紛いな行動をしてはあの子を追いかけ回していた
端から見れば不審者な俺と被害者な彼女
でもまだ未遂だし
全然アウトじゃないし?
何回か声でも掛けてみようとしたけど、どうも上手く言葉が出なくて格好悪く一度だけ道を聞いたのが最初の会話
・・・・今でもアレはどうかと思う
けど、分かったこともある
あの子は2丁目にある餡蜜堂の御汁粉が大好きで、最低でも週に1回は通ってることとか、趣味は古本屋を巡って推理小説や歴史小説を買うこととか・・・・、あと通学してるのは俺の学校とは違う女子校なこととか!!
・・・・うん、俺ただのストーカーだわ
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