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私はどうするべきかと考えた。家族の事は勿論気になる。しかし、今の私は蝉である。声を掛けてやることはおろか、一緒にリビングで寛ぎテレビを見ることも出来ない。もう赤の他人なのだ、赤の生物なのだ。行っていったいなんになるのだろう。
ふと、鈴木さんの言葉を思い出した。そうだ、蝉の一生は一週間なのだ。もうこれ以上生まれ変わる事は出来ないかもしれない。そうなると私は天国か地獄から見守ることしかできない。それは悲し過ぎる。
私は家族に会いに行くことにした。たとえ私に気づくことが無くても構わない。もう一度、顔が見れればそれでいいのだ。
私は飛び立った。そして困った。ここはどうやら家から相当離れている場所らしい、よく家族でドライブのついでに寄っているファミリーレストランが近くにあった。二十キロ以上は離れているだろう。果たしてそこまで体力が持つかどうか。
来世サポートセンターの話では、死んだ場所や思い出の地などの近くに生まれ変わるケースが多いと言う。つまり、私にとってのファミリーレストランは思いでな場所なのだらう。
だが、幸運でもあった。見知らぬ土地で生まれ変わっていたらどうしようもなかった。ここからなら道は分かる。後は体力の問題だ。
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