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そこで、奏は表情を曇らせた。
奏「でもね、少し怖いなとも思ってるんだ。」
和人「何で?」
奏「もし、包帯をはずしても何も見えなかったらとか考えちゃうんだよね・・」
その気持ちは分からなくもない、あくまでも見えるようになる可能性があるだけで
まだ決まったわけではないのだから。
ましてや、こいつは両親を亡くしていると母さんに聞いた。
奏「それに、明日から退院して外に出るわけだし、怖いよ・・・」
和人「じゃあさ・・・」
俺は心の底から出てくる言葉を奏に語った。
和人「お前の包帯がとれて、眼が見えるようになるまで、俺がそばにいてやる。」
奏「え!?」
和人「お前が、迷惑じゃなければだけど・・・」
俺は自分から出てきた言葉信じられなかった。
正直恥ずかしい。
恥ずかしがりながら奏の方を見ると、奏が顔を真っ赤にしてこっちを見ていた。
和人「どうした? 顔真っ赤だぞ?」
奏「え!? ・・あ、あぁ、うん、大丈夫、いやその・・いきなりだったから・・」
和人「何が?」
奏「その、男の子にそんなこと言われたの初めてで・・・。」
恥ずかしがる奏を見て、俺は自分が口にした言葉の重みを理解した。
和人「べ、別に、変な意味はないからな!」
慌てる俺を見て奏はクスクスと笑った。
奏「分かってるよ、君がそんな人じゃないことぐらい。」
こんな風に話をしていると、病室に母さんが入ってきて、俺が冷やかされたのは言うまでもない。
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