彼方のような物語

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  早くと子供に急かされ、駆け足になる。 というより子供に腕を引っ張られて駆け足になってしまう。 意外に子供の力は強い。 何故、引っ張られているかというと、少し前に子供が騒いでいた『花屋に変な人がいる』と。 だから子供はその人の場所まで案内してくれている。 「早くー」 「わかったからそんなに引っ張るな」 子供のいうことだからそれほどまででもないと思っていたが、行ってわかった。 花屋に着いたとき、ちょうど会計が終わったらしく、出てきた客とぶつかった。 それは色とりどりの花がジュイスの目の前に迫ってきたのだ。 「ぶっ!」 「えっ?」 急には止まれず、ジュイスは思いっきり顔から花に突っ込んだ。 その衝撃で花びらがいくつか落ちていった。 なんともったいない。 「ご、ごめんなさい!僕前が見えてなかったから」 花の奥から声が聞こえた、と思ったらぶつかった相手は顔を覗かした。 すぐに大丈夫だと言いたかったが、なにせ少年の格好がすごかった。 服装とかではなく、少年の手にある花束の大きさと量が。  
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