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新しく建てた自宅は静かな住宅街にある。
いわゆる高級住宅街であるが、私には関係が無い。
新しく大学生としての人生を送る私の名前はユリコだ。
その前に使っていた名前はサキだった。
本当の名前は随分昔のことで覚えていない。
何せ千年も生きている。
覚えていないが、20歳を迎えるのは何回目だろうか。
私の存在は不安定で不確かだ。
私の魔法一つで、人々の記憶は改ざんされる。
「おはよう。もう大学生かい?大きくなったねぇ。」
近所のお婆さんも私が20年ここに住んでいると思い込んでいる。
「おはよう、お婆さん。」
私は必要最低限の人付き合いしかしないように心がけている。
なぜなら、人間は私よりよっぽど短命で、心の内は一瞬で変わっていくものだと知っているから。
悲しいという感情は随分昔に捨ててしまったし、私の生きている意義はわからなくなってしまった。
私も、もともと人間だったはずだ。
どういう理由で魔女になったのか覚えていない。
自分の親も兄弟の有無も、何処の国の人間だったかも覚えていない。
ただ、死ぬ理由と方法がわからないだけだ。
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