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「バイクで行くんでしょう? 気をつけてね」  と、町田智香が心配そうな表情を見せる。 「大丈夫だよ」  片桐はそう言うと、彼女を安心させるように、彼女の二の腕のあたりを二回、ぽんぽんとたたいた。彼女の肌に直に触れた事で、片桐は彼女の体温を感じ、否が応にも先日の事を思い出す。それは町田も同じだったのか、顔を赤らめている。この瞬間、二人がつきあい始めた事が、その場にいる全員に知れ渡った。  松井の家まで、バイクで十分ほどの距離であり、往復することを考えると、行き違いになるのではないか? とも考えたが、この日の発表に片桐はあまり必要では無かったため、呼びに行く役割が彼なのは都合がよかった。  とにかく、そのような理由で片桐は松井の住むアパートの部屋の前に向かうことになった。
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