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 と、大野刑事と石榴刑事は死体発見の経緯を説明してくれる。私はまるでドラマを見るかのような映像を脳内で再生したのだが、現実とそれほど大きな違いは無いだろう。伊達に二時間ドラマを好きで見ているわけでは無いのだ。焼けただれた顔は、想像しなかったけど。 「ということは、被害者が松井であるかどうかはまだ分からない訳ですね?」  店長が質問する。 「そうです。ですから、身元不明の死体として報道されていたでしょう?」  大野刑事の応えに店長は、 「いやあ、テレビは見ないので」と、頭を掻く。新聞も地方新聞しか読んでいないし、あまり世事には関心が無いのかもしれない。 「でも、顔は焼かれていても、指紋を調べれば本人かどうかは判別が着くんじゃないですか?」  私の問いに大野刑事は首を振り、 「指も焼かれていました。硫酸を使ってね」
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