4/20
465人が本棚に入れています
本棚に追加
/265ページ
「司法解剖の結果ですが、やはり死後三日経過している事が分かりました。死因は窒息死。首には細い紐のような物で絞められた跡がありましたが、それが原因であろうと考えられます。死亡推定時刻は七月十三日の午後六時から十時の間。そして、死体が動かされた形跡はありませんでしたよ」  石榴刑事が報告する。 「でも、時計は動いていましたよね?」  私が先日の話を思い出しながら尋ねると、 「ええ。こちらでも、腕時計を放置して本当に止まるかを確認しましたが、マスターの仰る通り、一日で動きを止めました」と、大野刑事は応える。 「じゃあ、どういう事なんでしょう?」  私が疑問を口にすると、店長は、 「単純に考えるなら、死体が発見される前の二十四時間以内に誰かが腕時計を動かしたと言うことでしょうね」
/265ページ

最初のコメントを投稿しよう!