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「一つ聞いても良いですか?」
店長はそう断ってから、
「顔や指を焼かれたのはもしかして、死後しばらくしてからでは無いですか?」と石榴刑事に尋ねる。
「よく分かりましたね。そうです。顔や指を焼かれたのは死後数時間以上経過してからです。正確に何時間後か、ということは分かりませんが」
「それはたぶん月曜日のことですよ」
「どうして、そんなことが分かるんですか?」
店長の言葉に私は当然の疑問を挟む。
「それは当然でしょう。火曜日に腕時計が動いていたことから考えて、月曜日にその腕時計を誰かが動かしたということになる。誰かが現場に行かなければそれは不可能ですからね。なら、なぜ犯人は、その人物は犯人と考えて間違いは無いと思いますが、わざわざ現場に戻ったのか? それは、顔や指を焼くためだろうと予想したわけです」
店長はそんな説明と共に眼鏡のレンズを眼鏡拭きで拭く。
「でも、どうして顔を焼く必要があるんです? わざわざ現場に戻ってまで。だって、被害者は松井なんですよね? そんなことする必要、無いじゃ無いですか」
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