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 それは刑事さん達も同じらしく、二人は顔を見合わせている。 「まず、第一に、犯人は松井と同じゼミの生徒です。これは分かりますよね?」  店長が同意を求めるが、誰も首を縦に振らない。その様子に、店長は本当に驚いたように目をしばたたかせる。 「すみません、マスター、できれば理由を説明をしていただけると助かるのですが」  石榴刑事が一同の疑問を代表して訪ねる。 「犯人は、土曜日に松井を殺害した後、再び現場を訪れ、被害者の指と顔を硫酸で焼いたのでしょう?」 「ええ。そうですね」 「硫酸の出所はどこですか? まだ分かっていない? そうですか。たぶんですが、ネットででも手に入れたのだと思います。しかし、硫酸を使う事は犯行の予定には含まれていなかったことは自明です。なぜかですか? だって、元々の予定に含まれていれば、事前に準備をし、殺害後すぐに松井に対して使用したでしょう。しかし、現実はしばらく間を置いて使用された。これは、犯人が元々硫酸を使用するつもりでは無かったことを表しています」
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