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私は大野刑事からその箱を受け取ると、店の奥に持って行った。箱の中には人数分のケーキが入っている。私はそれを皿に移し、店に舞い戻ると、テーブルの上に置いた。
「それで、大島太輝はなんと言っているのですか?」
もう、ケーキにしか興味が無い店長を置いて、私は刑事さん達に尋ねてみる。
「大筋はマスターの仰った通りでした。ただ、腕時計の中にデータが隠されていた事は、犯行の瞬間まで知らなかったそうですが」
「え? じゃあ」
「いえ、動機はやはり以前松井が行ったストーカー行為です。被害者の恋人が大島の兄だった様です」
「女性の方では無く、男性の関係者だったんですか?」
「ええ。兄に恋人として彼女を紹介され、面識があったらしいです。これは推測ですが、大島は彼女にあこがれに似た気持ちを抱いたのかもしれませんね。年上の女性は魅力的に映る物ですから、その気持ちもよく分かります」
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