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「証拠と言えば、硫酸や固定器、オープナーは見つかったんですよね?」 「ええ。残った硫酸は川に流して処分してしまったようですが、固定器とオープナーは大島の部屋から見つかりました。それと、それらをネットで購入した記録が見つかったこと、そして、腕にひっかき傷の跡が残っていたことも、大島が罪をあっさり認めた一因でした。ひっかき傷は、湿潤治療など適切な処置をすればすぐに治るのですが、理由が理由ですから病院に行くわけにも行かず、また、人目をはばかる必要もあったのか上手くできなかったようです」  大野刑事がケーキをフォークで切りながら応える。その様子を店長は恨めしそうに見つめていた。 「良かったら、私の分も食べてください。甘い物は苦手ですから」  石榴刑事はそう言うと店長の前に皿を移動させる。
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