むかち貴金属店の涙

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「それは確かにそうだけどね」  店長も、渋々と、その事実は認める。それでも、 「しかしねえ」と、煮え切らない態度を崩さない。 「店長、男は度胸と言うじゃ無いですか。一度くらい電話しても罰は当たりませんよ。それに、裏があったからなんだと言うんです? もし、相手がよからぬ事を考えているのなら、それこそ、その目で見た方が安全ですよ。気がつかないうちに何かをされているよりは」  私の発破に、店長は心動かされたらしく、 「それもそうだね」と、店に備え付けの黒電話を手元に引き寄せると、ポケットからメモを取り出し、ダイヤルを回す。比較的スムーズにダイヤルする様子が、実は何度も電話を掛け様としていたのでは無いかと感じさせ、思わずほほえんでしまう。
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