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 とはいえ、私はまだもう少しお茶の時間を楽しんでいたかった。まだ午後三時と言うこともあり、陽はまだ高かったが、それでも秋を感じさせる過ごしやすさで、その点は助かったが、もう少し座っていたかったというのが正直なところだ。二時間以上ほとんど動かずに立ち続ける事の大変さを身をもって感じていた。お客が来店でもしたら、作業を中断し、接客をすると言うことで、あらかじめ手毬の了解も得ていたのだが、こういうときに限って一人の来店も無かった。それとも、足助のお嬢様が絵を描いている、その邪魔をしてはいけない、とお客の方が遠慮しているのだろうか?  もしそうなら、いらない遠慮と声を大にして叫びたかった。声には出せないけど。
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