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「せっかくですから、そちらの絵の具とイーゼルも預かったらどうですか?」
私はそんな思いを振り払うように口を挟むと、店長は、ああ、そうですね、と頷いた。
「道具一式お預かりしますよ。場所なら有りますから」
店長はそう言って、手毬の足下に置かれた折りたたみ式のイーゼルと道具類を手に取る。
「倉庫なんか良いんじゃ無いですか?」
「そうですね、そうしましょう」
私の提案を受け、店長は即答すると、私たち三人は店の裏にある倉庫にそれらを運んだ。
「僕は、足助さんを家までお送りしてきますから、君はしばらく店番をしておいてもらえますか?」
店長の言葉に私は頷く。足助のお嬢さんが店から帰る途中に何か問題が起こりでもしたら、その責任を問われ、足助の家から何をされるか分かった物じゃ無い。そのため、店長が彼女を屋敷まで送るという行為を否定する理由を見つけることは私にはできなかった。
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