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「あの?」
「はい?」
私が呼びかけると店長は驚いたように顔を上げる。そして、不思議そうに私の顔を眺める。
「店長、稼野江の視力が良いとどうなるんですか?」
私の質問に、店長は私が何を疑問に思っているのかやっと気がついたらしく、ああ、と、間の抜けた声を出し、
「そういえばまだ話していませんでしたっけ?」と、おっとりと応える。
「聞いていません」
私は内心のいらだちを隠すために笑顔を浮かべ、店長の肩に手を乗せる。
「つまりこういう事ですよ。犯人は稼野江だった」
そんな、説明にもなっていない言葉だけで、店長は満足した様に何度も頷いていた。
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