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僕を好き…
臆面もなく口にする雅人。
雨の中でもそう言ってたっけーー
僕には浜松まで来た雅人の真意がまだ計りかねている。
「…とりあえず食事しよう」
「ああ、これからは毎日お前とメシ食えるんだな」
ご機嫌な様子で、テーブルに食器を並べる雅人。
「君が出て行くまでだよ」
僕は冷たく言い放つ。
「まだ許したわけじゃないんだからね」
そうだ、この男は僕をレイブしたのだ。
あの痛みと屈辱は忘れない。
「あの時は、どうかしてた。すますないと思ってる」
真顔で謝罪を表す雅人。
「………」
東京での俺様な雅人とは別人のように素直だ。
蒸し返すと、雰囲気が悪くなるので、僕は無言で床に座った。
と同時にポケットのスマホが振動する。
尾崎さんからのメールだ。
ワシントンは今、朝位。
「出てもいいぜ、新藤さんだろ」
雅人も気づいたらしい。
「後でいい」
「なんでだよ。オレは構わないぜ」
尾崎さんとの貴重な時間を雅人に邪魔されたくない。
「僕の勝手だろ。プライベートにまで干渉するな」
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