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「この営業所も賑やかになりそうだな」
ハハハと笑って所長は去っていった。
誰だろう、わざわざ地方の小さな営業所に異動してくるなんて…
田舎がこちらにあるのかな…
まあ僕には関係ない。
尾崎さんと離れてから、僕の世界は全て色あせてしまった。
☆★☆
勤務中に確認するわけにはいかないので、帰りのバスの中で、僕はスマホのメールを見た。
尾崎さんと僕の専用アドレスに写真付きメッセージがある。
ドキドキしながら開く。
『…元気か?俺は雪也叔父さんのおかげで結構快適にやってるよ』
短いメッセージだが、どうやら無事語学学校に入学出来たようだ。
英語の他にスペイン語やフランス語も学んでいるという…。
僕も頑張らなくちゃーー
微笑む尾崎さんの写真をじっと見て、メールを閉じた。
あまり見つめていると、会いたくなってしまう…
声が聞きたくなってしまう…
バスの窓から流れていく単調な景色を、僕はぼんやり眺め、遠い異国の尾崎さんに想いを馳せた。
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