362人が本棚に入れています
本棚に追加
久し振りにゆっくり話せて、気持ちが高揚したせいか、眠れないまま朝になった。
僕の部屋は二階の角だ。
アパートの名前は、皮肉にも『フォレスト』
雨が降らないうちに空気を入れ替えようとカーテンを開ける。
何気なくアパートの入り口を見下ろした僕は、ギクリと心臓が跳ねるほど驚いた。
(まさか…)
駐車場付きアパートの敷地を囲う低いコンクリートの塀。
その門の内側から、じっと僕の部屋…いや僕自身を見上げる人物が居る。
(幻覚だ…。あるいは、容姿がそっくりな他人の空似)
ー藤田雅人
僕を奈落へ突き落とした奴…
何で?
どうして…
動揺しながら、窓とカーテンを締めた。
少しの静寂の後、
『ピンポーン』
ドアのベルが鳴った。
落ち着こうとしても、動機が激くなる。
……
……
確かめよう、同じアパートの住人かもしれないし
…
僕はふらつきながら、ドアのチェーンロックだけ開けた。
「はい…」
最初のコメントを投稿しよう!