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ドクン…
次の瞬間、僕の心臓は更に激しく脈打った。
「よう、立花。来たぜ」
ドクン…
ドアの前に立っていたのは、紛れもなく
『藤田雅人』
だった。
まるで昨日まで、本社に居たかのように変わらない出で立ちと口調ーー
「……っ」
「話しがあるんだ、開けてくれないか」
話し?あんな事をしておいて、今更何を…
僕が黙っていると
「謝りたいんだ、…あの時のこと…。そのために来た」
僕は不用意にドアを開けたことを後悔した。
顔も見たくない、声も聞きたくない人物と相対しているのだから…
「…僕には話しなんてない、帰れっ!二度と来るなっ」
何とか声を絞り出し、バンと音をたててドアを締めた。
震えながら、チェーンロックをかけ直す。
こんな所まで追いかけて来るなんて…
どこまで僕を苦しめるんだ…
「…許されるなんて思ってねー。でも聞いてくれ、オレはお前を…」
黙れ、黙れ!
お前の言い訳なんか聞きたくない!
僕はドアを背にずるずると座り込む。
まさに悪夢の再来だった。
2013:04:12
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