【14】ガソリンスタンドと金物店

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翌日。 昨日の朝まであったはずの ガソリンスタンドと金物店。 それは、影も形もなくなって。 コンクリートの破片やブロックの固まりだけがあちらこちらに散乱していた。    こんなにあっけなく… さらに驚いたのは 金物店が取り壊されたことで、裏にあったおじさんの家がよく見えるようになっていたのだが。 その家までも、 外壁が少し打ち抜かれた状態だった。 何十年もそこにあったであろう物が たった一日で。 一瞬で消えてなくなって。 今まさに、家まで無くなろうとしている。 おじさんは、どんな思いでこの日を迎えたのだろう。 悔しかっただろうか。 悲しかっただろうか。 それとも案外すっきりした気分でいるんだろうか。 車の中でいろんなことを思いながら 会社へと向かった。
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