【15】たこやき屋のおっちゃん

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家に帰り着き玄関をあけると。 子供たちが走って出迎えてくれた。 「ただいま~」 『おかえりー!!なんかいい匂い! あ~、やった、たこ焼きだぁ。』 嬉しそうに笑う子供。 手を引っ張られながらリビングへ入ると 晩ご飯の途中だった彼らの散らばった箸が見える。 …胸がイタくなる瞬間。 最初から一緒に食卓を囲めないことに、いつも申し訳ないと思う。 それでも帰ってくることが分かっている子供たちは、文句も言わずに待っててくれている。 荷物を置いて着替えを済ませると、 ビールを片手に腰を下ろす。 すでに、たこ焼きを食べている子供たちは嬉しそうな顔をしている。 少し残念な見栄えではあるが 子供たちにとってはそんなことどうでもいいようだ。 「どう?おいしい?」 『うん!おいしい! ママも食べなっせ!』(熊本弁) 「どらどら。」 モグモグモグ、うん、まぁまぁやね(笑) 「あと全部食べていいよ。」 『やったぁ!』 弟と半分ずつ皿に分ける兄五歳。 微笑ましいのうw たこ焼きは思いの外、 いつもより食卓を明るくした。 おっちゃん!! おいしいんだってさ(笑) 小さな幸せを300円で買ったんだと。 そう思うのも悪くない。 …プシュッ! ビールをあけて一口、口に含んだ。 痛ったぁぁぁぁあぁぁあぁぁ~~ 思いの外、喉には激痛が走ったわけでございます。 fin ※最後までお付き合いありがとうございましたm(_ _)m
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