【5】少年N君

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「おはよう」 毎朝すれ違う少年N君に 今日も笑顔であいさつをする。 「おはよっ!」 私に気づいたN君は、にこっと屈託のない笑顔で小走りで私に近づいてくる。 「あれー、髪きったね。かっこいいじゃん。」 その私の言葉に、 少し恥ずかしそうな、でも嬉しそうな表情で「うん」と言った。 やっぱかわいいなぁ、N君は。 朝の癒やしだわ。 なんて思いつつ、「じゃぁね」と手を挙げ先を進める私に… 「あっ!あっ…まって、あのね、あのね、えっーと…」 はは(笑) きたきた。 いつものちょっと待ってが。 「ん。なに?」 もうお決まりのやりとり、少しだけ足を止め話を聞く。 正直、朝は時間との勝負ってくらいバタバタしててすぐにでも会社へ向かいたい。 でもそうはしない。 この時間が彼にとって必要な時間のような気がするから。 少し話すと、N君は満足した様子で、 「お仕事がんばってね」 と言った。 「うん、がんばるよ、じゃぁね。」 自分の子でもない子に、 お仕事がんばってね なんて言われると かわいすぎて我が子にしたくなるじゃないか(笑) ほんとは彼にとって必要な時間ではなく 私が必要としてる時間なのかもしれない。
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