44人が本棚に入れています
本棚に追加
深夜2時を回ったころ。
静まりかえった住宅街に一台のタクシーが停まる。
私が呼んだタクシーだ。
居酒屋でママ友たちとの飲み会を終えた後、その中のひとりのママ友の自宅でささやかな二次会を開いた。
と、言ってもそう遅くまで自由が利くわけではないため、メンバーのほとんどが一次会後に帰宅してしまい、ここへ来たのは自分一人だけだった。
自分も例外ではないのだが、一番仲の良いママ友の誘いを断るのもいかがなものかと、少し考えた末お邪魔することにしたのだ。
家ではそう飲まない量を、人を交えるとどうしてこうも呑めるのだろうか。
話し込めばキリがなく、大型液晶テレビの横に置かれたデジタル時計に目を向けたときには、もうすでに二時間もの時間が経ってしまっていた。
玄関の外で一緒にタクシーを待つと言ったママ友を無理矢理家の中へ帰し、縁石に腰掛けてしばし一人の時間に耽る。
梅雨時ではあったが、一日中降り続けた雨のせいで夜は少し肌寒さを感じた。
気が抜けたのか、一気に酔いと眠気が押し寄せてくる。
早く帰らなければこのまま寝てしまいそうだ…。
力の抜けた体はガクンと大きく揺れる。
あぶない、あぶないっ。
寝ちゃあいかん!私は家に帰るんだ。
重い瞼を必死にあけようと頑張るがまた自然と瞼は落ちてしまう。
それを何度も繰り返しているうちに、ようやく呼んだタクシーが暗闇から一際明るいライトを照らしながら現れ、座ったままの私の前で停まったのであった。
最初のコメントを投稿しよう!