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もう少しタクシー運転手の話を聞いていたかったけど、そう思ったときには既に自宅の前へと着いてしまった。
料金を支払ってタクシーを降りる瞬間、運転手は。
「子育て大変でしょうが頑張ってくださいね。ありがとうございました。またご利用ください、おやすみなさい。」
と、最後にニコッと笑って礼を言った。
「ども、ありがとうございました。」
お礼を言うのは私のほうだ。
玄関を開けて、そっと家の中へ入る。
足音を立てないようリビングのドアを開け、手探りでスイッチを探して明かりをつけた。
……はぁ~帰ってきた。
やっぱり家はホッとする。
いったい今何時だろう?
ぼーっとしまま時計を見たらちょうど三時前だった。
………眠い。
倒れ込むように床に転がる。
やっと無理に開ける必要のない瞼をおろすとすぐに意識が薄れていくのが分かった。
…タクシーの運ちゃん、いい人だったなぁ……あした…覚えてるかなぁ…
──翌朝
「おい、風邪ひくぞ。」
体を揺さぶられ起こされる…
あぁ…あのまま寝ちゃったんだ。
「仕事行ってくるから」
そう言った旦那を見上げるとバッグを持ってもうまさに家を出ようとしている瞬間だった。
「…あ!」
「なに?」
「晩ご飯なにがいい?」
「はぁっ?!」
「や、だから晩ご飯なにがいい?」
「……そんなこと聞くの珍しいな。じゃ、ポテトサラダ」
「それ、おかずにならないよ」
「…おかずはなんでもいいからポテトサラダが食べたいんだよ」
「わかった」
「じゃ、行ってくる」
「へい。いってらっしゃい」
そういや、好きだったね。ポテトサラダ……
最近作ってなかったや。
今日は山盛りポテトサラダを作ろう。
好きな米焼酎も買っておこう。
たまには目を見て
おかえりと言おう。
fin
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