【18】やのけん?!

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   男性の車種を確認してからコンビニを出た。  バックミラーでちゃんと着いてきているか確認しながら運転をしていたが、異様にスピードが遅い……。  当然だが夜で周りは暗い。おそらく道を覚えるために目印になるものを見つけながら進んでいるのだろう。  男性に合わせて、スピードを落とす。  ショートカットすれば早い道もあるが、敢えて大きな通りを選んだ。彼が少しでも分かりやすいように。  特に右折や左折をするときは更にスピードを落としてみた。もちろんそれも交差点の目印となるものを彼が記憶できるように、だ。  それでも進むに連れて、この暗がりの中では一度通るだけで完璧に道を覚えるのはなかなか難しいだろうと思った。  着いたら地図でも書いてあげよう。  帰りが帰れないだろうし……    そして、ようやく公園についた。  温泉施設も併設されているこの公園は夜でも車がぎっしり停まっている。  この明るさに少しほっとする…  空を探して駐車場に車を停めると、男性も横に並べて停車させた。  男性が降りたのを確認して自分も車から降りて声をかけた。  「…着きましたよ。ここが公園の駐車場なんですが、グラウンドはこの建物の向こう側になります。今は暗いんでよく見えないですけど明るいときに見れば一発で分かるんで大丈夫だと思います。」  男性は深々と頭をさげて、  「ありがとうございます…。あのー、そのグラウンドですが近くで見てみたいので一緒にちょっとついて来てもらっていいですか?」    え?………  なんで?  いや、だからもうグラウンドはすぐそこなんだって。わざわざ一緒に見なくても……。  てか、なんかそれ、怖いし……。  
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