【18】やのけん?!

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   「…いやっ、あのー。ほんとすぐそこなんで大丈夫だと──」  「少しだけでいいんで!どんなグラウンドでサッカーするのか見てみたいんです。」  彼はまた眉を情けなく下げて言う。  「…………」  ちょっマヂ…?  私、一応女だし。夜の誰もいないグラウンドに知らない男の人と行く勇気はないんだけど…    「あのー、じゃあ車でもいいですか?また前を走りますんで…」  「はい、もちろん。すみません、無理言って。ほんとありがとうございますっ!」    ホッ……よかった。  たかだか数十メートル先のグラウンドまで車を動かして道路の脇にハザードランプをつけて車を停めた。  男性は車を降りてグラウンドを見渡す。  私は車からは降りなかった。  運転席の窓だけをあけて  「もう…大丈夫ですかね?」と、声をかけると。  「…あのー、すみません。…実は今通ってきた道なんですけど着いて行くのに精一杯でほとんど道覚えてなくて……」  ああ、ね。それはなんとなく予想していたから地図を書こうと思ってたんだった。  「わかりました。じゃ、簡単に地図書きますね。それ見て帰りは帰ってください。」  
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