【18】やのけん?!

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   「…あのっ…えーっと、ほんとご迷惑お掛けしてるのは分かってるんですけど…。できれば一台の車で一緒にインターまで行ってもらえませんか?そしてそのあとまたこの公園まで案内してもらいたんです……」  「…えっ……」  なにを、言ってるの?  いま一台って言った?一台で一緒に?  「いやっ……っと」  すぐに言葉が出なかった。さすがにそれはマズいだろう…。  と言うより、あり得ない。    「あの……すみません、それはちょっとできないです…」  本気で困ってそう答えた。  ヤバい。もうこれ以上頭が働かない。  どうすればいいんだろう……  すると更にそれを上回るほど落ち込んだ顔で彼はこう言った。  「…だめ…ですか?…僕、たぶん二台で行ったらまたついていくだけで精一杯で道覚えられないと思うんです…一緒に乗ってもらって目印を教えてもらえると大丈夫だと思うんですけど……」  彼はずっと泣きそうな顔のまま懇願して私を見ている。  「…やっ。あの、分かるんですけど…でもやっぱり…一台っていうのは…」  無理だよ。    怖いよ、ほんと。  だってさ。どーすんの。乗ってすぐナイフでも突きつけられて『金出せ、こらぁ!』とか言われたら。  もしくは『おとなしく俺が言うところまで車を出せ!』  とかさ……  あなたが悪い人じゃないっていう証拠はどこにもないんだよ?  さすがに手を額にあててしばらく悩んだ。この状況をどうやって回避すればいいのか考える力が沸いてこない…  どうすればいいんだ。  いったいどうすれば………  あ!!!!  そのときあることが閃いた。  
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