【18】やのけん?!

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 「お子さんお幾つですか?今度サッカーされるお子さん。」  「えっと、今。小学六年生です。去年の夏に僕離婚したんですけど、奥さんのほうが引き取ったんでなかなか会いたくても会えないんですよね…。そしたらたまたまサッカーの試合があるって聞いたんで内緒でこっそり応援に行こうと思ってて。それで会社終わって携帯のナビ見ながら下見に向かってたんですけど、道が複雑になってきてもうどこがとこだかさっぱりになっちゃってですね、ははっ。」  「…ああ、あの辺から確かに難しくなるんですよ。特別大きい道がない分、いくつも道が分裂してて。間違って一本入ったらとんでもないとこ行っちゃいますからね。」  なんとか会話らしい会話を返して熊本インターを目指した。  彼はずっとそのあとも話し続けているのだが、果たして肝心な道は覚えているのだろうか?    これはお気楽なドライブではない筈。  私はあくまでも今目の前のミッションを成功させて無事に家に帰還することだけを考えたいのに。  「あのー、道覚えてくださいね?インターまでは簡単ですから。当日はサッカー見終わったらこのルートで帰れば問題ないと思いますから。」  「はい!分かりました。」  と、元気よく返されたがすぐにまたどうでもいい話を喋りだす……  やのけん……  君はほんとに大丈夫なのかよ。
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