【18】やのけん?!

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   車はバイパスに出た。  あとは真っ直ぐ道なりに進むだけである。あの公園を出てから角を曲がったのはたった二回。これを覚えられないことはさすがにないだろう。    「…いいですか?もうここバイパスですからね?このまま真っ直ぐ市内方面へ進めば左手にインターありますから。」  「はい!これだったら大丈夫です!僕でも分かります!!」  「……っ。」  でかいよ、声…。  トーン下げてもっと。てゆうか、さっきまでの泣きそうな顔はなんだったのよ。  彼は道が分かって一気にほっとしたのだろう。また止まることのないお喋りがスタートした。  「あの…旦那さんとは仲良しですか?」  「…仲良しって…別に普通だと思います。」  「会話とかあります?」    「まぁ…そりゃ一緒に住んでますから」  「そっかぁ……僕、最後のほうはもうまったく会話なかったんですよね奥さんと…」  「………」  なんて返せばいいのよ…。  「なんかそういう姿を子供に見せてたことを思うとあの子たちに申し訳なかったなぁって…」  「お子さん、ひとりじゃないんですか?」  「…ええ、もう一人いるんです。…僕はどうすればよかったんでかね?離婚せずに済む方法はなかったのかって今でも後悔してるんですよね…」  どうすればって……私はあなたの家族のことまでは知らないしもう離婚したあとにそんなことを言ったって。    サッカーの試合を見るために、道案内の協力まではするけれど、人生相談までにはのれないよ。  と、そんなふうに思いながらも…。    結局は私は律儀に答えてしまう。  
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