【18】やのけん?!

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 そして、ようやくKK公園まで戻ってきた。  何事もなく終わってよかった。  やっと家に帰ることができる。いつまでも帰って来ないと家族は心配しているだろう、きっと。  はやく子どもの顔が見たい。  彼が停めている車の横に、並べて車を停車させた。  彼はまた何度も頭を下げて、  「今日はありがとうございました。ほんっとに助かりました!これで息子のサッカー見れます。」  「いえ。帰りは気をつけて帰ってください」  「はい!それじゃ、えーっと、携帯番号交換しましょうか!」  え?うっそ………  「…やっ…あの、別にいいんじゃないですか?交換しなくても…」  「え?なんで?だって僕たちお友達になったわけだし、今度今日のお礼もしたいし。」  「や!大丈夫です。お礼とかほんとに大丈夫なんで!それに私忙しいんで。」  「そんなこと言わずに。今度ぜひ食事でも奢らせてください!」    あぁ…あぁ…もう誰か助けて。    「ごめんなさい!ほんと無理です。私仕事もあるし、子どもいるんでそんな時間はとれないんです。ほんとにお礼はいいんで!!」  「一回だけでもいいんでお願いします!このままでは僕の気がすみません。どうにか無理ですか?」  限界だ。  もう限界だ。  「無理です。できません。ほんとごめんなさい。気持ちだけ頂いときます!」  てゆうか、なんで私が謝ってんだろ。    でも少し強い口調で言ったからだろうか、ようやく彼は諦めた。    しかし───  「…分かりました。じゃあ、食事は諦めます。でもメールだけたまに送ってもいいですか?あの、僕は別にご家族にご迷惑かけるつもりはないんです。ただたまにお友達としてメールができればと…」  「だから…だから…メールもたぶん返せないですから。」  もうなんか頭おかしくなりそ…  「…だめ…ですか?別に返すのはいつになっても構わないんで。」  でた。  またその情けない泣きそうな顔。  はぁ……  「番号だけなら」     「ありがとうございます!」    結局、こうなる。  私は馬鹿だ。  
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