【7】デニス先生

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そんなデニス先生。 年がら年中、半袖である。 たしかに体の大きな人って暑がりなイメージはあるけど… 去年の真冬の出来事。 その日はいつも以上に寒が増して、 コートに首をすくめ、腕を前組みした状態で小走りに教室へ駆け込む。 さぶっっ!! 身震いしながら教室のドアを開けると、 いつものように、にこやかに 「Hi Hello」 と、軽く手を挙げてあいさつをするデニス先生。 私も笑顔であいさつを返すものの、 彼の季節感のない半袖シャツに ここだけ南国か! ってツッコミたくなる。 さすがに日頃から気になって仕方なかったので、今日はあえて聞いてみた。 「Is it not cold ?」 「ゼンゼンサムクナイネー♪」 ……………。 そ、ですか。 しかしそれからしばらく観察していると ふと彼の腕に目がいって…。 よくよく見ると見事なまでに鳥肌がたっている。 おもわず吹き出しそうになった。 やっぱ寒いんじゃないの? それからどーしても気になって、 もう一度訊く。 「ほんとにさむくないの?」 「ンーーー、チョトサムイネ」 そりゃそうでしょう。 ボブ・サップみたいな体してるから 日本のお店じゃサイズがないのだろうか。 それとも俺には半袖なんか必要ないぜ。 だって俺はマッチョなんだ! と、敢えて自分を奮い立たせているのかもしれない。 勝手な妄想ワールドで頭がぐるぐる。 大きいサイズの専門店の場所、教えてあげたがいいのか。 そんなことを考えていたら、 彼の座っている椅子のうしろに大きなダウンがかけてあった。 なーんだ。心配して損した。 でも寒かったら長袖着ましょう。 風邪ひきますよ。 でも私はそんなデニス先生が好きです。
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