【19】追われる男

22/24
前へ
/212ページ
次へ
     なぜこれがここに届いたのだろう。  いや、深く考える必要はない。      ″ぶるぶるはちきんクッション当たります″  『これ応募してみない?』  『どうぞ、先輩応募していいですよ』    あの時の会話とニタっと笑った先輩の顔を思い出した。  やってくれるよ、まったく…。  念のため電話で確認することにした。 ****  『はぁ~い。どうしたの急に?』  「あのー先輩。前にはちみつ金柑のど飴の懸賞品応募したの覚えてます?」  『…ああ!そういえばしたねー』  「私の名前で応募したでしょ?」  『えへ♪バレた?…あれ?…ってゆうかもしかして当たったの?!』  「……はい」  『きゃあ、すごぉーい!』    電話越しの先輩は、当たるもんなんだねーなんて言いながらはしゃいでいるけれど、私は正直なんとも言えない複雑な気持ちでいた。  先輩が勝手に私の名前で応募したことなどはっきり言ってどうでもよい。  おちゃめな先輩であることはよく知っているしそんな先輩が私は大好きだ。  それよりも問題は、この目の前にあるぶるぶるはちきんクッションそのものである。
/212ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加