【20】あご八

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そうは言われてもなかなかあご八に行く機会は訪れなかった。 隣町にある為なにかのついでに、と思っていたら軽く数ヶ月の月日が経った。 そんなある日のこと。 休日出勤の代休消化で偶然にも平日の自由な時間を確保できた私は、ふと忘れかけていた『あご八』のことを思い出した。 そう言えば、まだやってるのかなあの店…。 もしかすると潰れてたりして。 『おもしろいものが見れるわよ』 と言った弓子の言葉も同時に思い出し、閉ざされつつあったあご八への好奇心が またふつふつと沸いてきた。 よし、せっかくだから今日のお昼に行ってみるか! いよいよ現場検証するときがきたようだ。 一体なにが見れるというのだろう。 実は外観はボロいが中では超イケメンが働いているとか、どこかの国の超人のように揚げ物を手で掴んであげるとか(もしそうだったら食べたくないが)、不揃いの千切りキャベツは目を瞑って切っているとか…。 きっと何かが分かる筈だ。 私は大きな期待?を膨らませ、『あご八』に向かって車を走らせた。
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