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5秒くらいの間で、そんなことをぐるぐると頭の中を巡ったけれど。
5秒で出した結果、彼女はいわゆる
「天然」であると。
新入社員の彼女が、ここの事業部に来てまだ3日目という浅い時間の中で、朝からトイレネタを披露するほど余裕があるとは思えないからだ(^^;)
真面目なボケには、真面目なつっこみをするほかないわけで。
うまく笑えてた自信はこれっぽっちもないけれど、とりあえず笑顔で彼女の側まで行くと、小さなトイレ用具入れの棚からスポンジを取り出して、それを彼女に渡した。
「ごめんね、洗面台はこれで掃除してもらえるかな。」
「あっ、すみません!どれで掃除していいのか分かりませんでした。明日からちゃんとこれでしときますっ!」
うんうん、そかそか。
いいんだよ。
22歳の彼女。
学生から社会にでたばかり。
今までトイレ掃除なんてお母さんが当たり前のようにしてくれてたんだと思う。
仕事だけじゃない。
いろんなことを失敗して恥じて、社会人になっていくんだ。
一週間後。
研修を終えた彼女は、正式に本社へ配属された。
本社とここじゃ、そうそう会える機会もないかもしれないけど、見かけたときには声をかけよう。
がんばってね、宮本さん。
陰ながら応援してるよ(^^)
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