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ーそしていつもなら。
お姉ちゃんがみさきちゃんに、
「みさき!れおの荷物入れてあげろよ!」
と、少し荒い口調だが一言声をかけていく。
しかし、今日は急いでいたのだろう。
二人とも妹と弟を園庭まで送り届けると、小走りで駐車場へと戻って行った。
そして、また自転車に乗ると先ほどとは違う早いスピードで学校のほうへと去って行った。
園庭に取り残された二人は、そこから動くこともなく、お互い顔を合わせる訳でもなく、ただただそこに立ち尽くしていた。
2号を抱えたまま、二人にそっと近づき
「おはよう」
と、声をかけた。
みさきちゃんは、ゆっくり顔を上げると小さな声で「おはよ」と言った。
弟のれおくんは、相変わらずどこを見ているのか分からないような目で、ただ少しだけこちらに顔を向けた。
声をかけたことで、二人が私の後ろをついて来るかと思ったが…
やはりそこから動かなかった。
いったん教室の前まで行き、荷物と2号を降ろした。
2号に靴を脱いで上がるように、1号には自分の荷物を直してくるように伝え、
私はまた、動かない二人の元へと向かった。
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