【10】小さな絆

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ーそしていつもなら。 お姉ちゃんがみさきちゃんに、 「みさき!れおの荷物入れてあげろよ!」 と、少し荒い口調だが一言声をかけていく。 しかし、今日は急いでいたのだろう。 二人とも妹と弟を園庭まで送り届けると、小走りで駐車場へと戻って行った。 そして、また自転車に乗ると先ほどとは違う早いスピードで学校のほうへと去って行った。 園庭に取り残された二人は、そこから動くこともなく、お互い顔を合わせる訳でもなく、ただただそこに立ち尽くしていた。 2号を抱えたまま、二人にそっと近づき 「おはよう」 と、声をかけた。 みさきちゃんは、ゆっくり顔を上げると小さな声で「おはよ」と言った。 弟のれおくんは、相変わらずどこを見ているのか分からないような目で、ただ少しだけこちらに顔を向けた。 声をかけたことで、二人が私の後ろをついて来るかと思ったが… やはりそこから動かなかった。 いったん教室の前まで行き、荷物と2号を降ろした。 2号に靴を脱いで上がるように、1号には自分の荷物を直してくるように伝え、 私はまた、動かない二人の元へと向かった。
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