【10】小さな絆

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たんぽぽ組のドアを開け、 「おはよーございまーす」 といいながら中へ入ると、その日はちょうど2号の担任の先生が早出でいらしていた。 「あっ、inoさん、おはようございます。2号くんもおはよう!」 2号は、自分の先生が早出で来ていたのが嬉しかったのだろう。 少し、照れながらもおはようの挨拶をした。 後ろを振り向くと、入り口で突っ立ったままのれおくん。 そっと背中に手をあて、中へと導いた。 すると、先生が 「inoさん!れおくんどこから来ました??」 と急に慌てた様子で私に聞いてきた。 どこからって…(苦笑) そんなとんでもないよーなところから来たような言い方しなくても。 でもその質問に私もつい、    ・ 「今日もお兄ちゃんとお姉ちゃんと一緒にきましたよ。」 と、「も」を無意識につけてしまった。 しまったなと思ったが、私のその言葉に先生は、 「…そうですか。あ、みさきちゃんは? 」と気にもせず、次の質問をしてきた。 「みさきちゃんは、1号と一緒にいま自分の荷物を置きに行ってますよ。」 「そうなんですね。inoさん、わざわざありがとうございました」 「いえ、べつに。」 先生へ引き渡したことで、私も少なからずほっとした。 2号のバックから、お便り帳や着替え、タオルなどを出して指定の場所へと置いていく。  2号のクラスはこのたんぽぽ組なので、移動せずにすむのはラッキーだ。 でもいつもより時間をとってしまったので、手の動きを早めながらも、先生とれおくんのやりとりが気になって、横目で様子を伺っていた。
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